四季折々の植物の話。


仏 Bergamote / 英 Bergamot orange

フレッシュで広がりのあるシトラスの香りが心地い、ベルガモット。「黄金の林檎」としてヘラクレスが果樹園で探していた果実という伝説も残されている。

その名称は原産国イタリアの街ベルガモに由来するといわれ、ミカン科の常緑樹で長い緑の葉に、白い花を咲かせる。現在はイタリアのカラブリア地方、シチリア島、南フランス、コートジボワール、ギニアやブラジルなどで収穫されている。果肉は苦みが強いため、生食には向かないが、その果皮を圧搾して採取される精油は、香料として、幅広く香りや風味づけにもちいられる。アールグレイは茶葉にベルガモットで着香したもの。華やかで落ち着きのある香りがふわりとたちのぼるためフレーバーティとして人気が高い。ガラス工芸で栄えたフランス北東の街ナンシーでは、ベルガモットフレーバーをもちいたキャンディー、Bergamote de Nancyが有名。モロッコでは、専用の土鍋で作るタジンに塩漬けにしたベルガモットを入れて煮込む。

心理的には、集中力を高めたり、気持ちを高揚させる効果と、ストレスや緊張を抑え、リラックスできる両面の効果が期待できる。万能的に作用する精油として、アロマテラピーの発展に大きな影響をあたえた。

香水の世界で、ベルガモットは、シトラスノートの中ではフローラルなやわらかさが感じられ、温かみのあるデリケートな香り。18世紀初め、世界初のオーデコロンの香料として使用された。香水のつけはじめの印象であるトップノートを軽やかに香らせるため、あらゆるタイプの香水にもちいられていて、いまや香水には欠かせない香料のひとつ。その爽やかでふんわりとした印象が、続いて香るミドルノートへのスムーズな架け橋としての役割も担う。特に、ラベンダーとの相性がよく、男性香水のフレッシュさを表現するためによく使われる。またシプレ調の香りは、ベルガモットの上品でフレッシュな香りに落 ち着きのあるオークモスなどが調和した香りのタイプのひとつ。
  ザ ディファレント カンパニーのDivine Bergamote / ディヴィーヌ・ ベルガモット(2003年)は、フランス語で「神のベルガモット」というネーミング。天然のベルガモットを70%以上という高い割合で調香した、やさしく知的な印象。ミドルからラストにほのかに香るジンジャーやルバーブなどが上品な個性を演出してくれる。イヴ サンローランの 男性香水で80年代を代表する香りとして、現在も人気のKouros / クーロス(1981年)は、アロマティック・フゼア調の香り。古代ギリシャの青年像クーロスをイメージした、凛々しくパワフルな香り。ベルガモットのフレッシュさが地中海の太陽や透き通るような青い空を連想させる。

春のふくよかで陶酔するような香りは、花の香りを連想しがちだが、ベルガモットなどのさわやかな果実の香りや、自然のさまざまな香りが織りなすハーモニーである、とあらためて感じることができる。

 
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